高校生の頃、私は本気で海洋生物を守る仕事がしたいと思っていました。
特にイルカが好きで、
そう思っていたんです。
でも、環境について勉強を始めると、不思議なことが起こりました。
「待って。」
イルカだけ守っても意味がないんじゃない?
イルカが生きる海が汚れていたら意味がない。
海だけきれいでも、川から汚れが流れてきたら意味がない。
川だけ整備しても、森林が荒れていたら水は変わる。
プランクトンがいなければ食物連鎖は成り立たない。
「あれ?」
そんなことを考え始めたんです。
当時は言葉にできませんでした。
でも今振り返ると、私はイルカを見ていたのではなく、「世界のつながり」を見始めていました。
イルカだけを守りたい自分は浅いのか?

当時の私は、自分自身に少しがっかりしました。
イルカは守りたい。
でも、プランクトンにはそこまで感情が動かない。
そう思いました。
でも今なら違う見方ができます。
人はどうしても、目に見えるものや、感情移入しやすいものに心を動かされます。
イルカには表情を感じる。
花には美しさを感じる。
でもプランクトンには、なかなか同じ感情は湧きません。
それ自体は、ごく自然なことです。
大切なのは、そのあとでした。
私はそこで終わらなかった。
「なんで私はイルカには心が動くのに、プランクトンには動かないんだろう?」
そう考え始めたんです。
その瞬間から、私の興味はイルカではなく、「自分の価値判断」に移っていました。
花屋になっても、同じことが起きた

その後、私は花屋になりました。
花の魅力をもっと多くの人に伝えたい。
そんな想いで仕事を始めました。
でも、ビジネスを続ける中で、また同じ壁にぶつかります。
利益を出さなければ、お店は続きません。
だから利益を考える。
仕入れを考える。
在庫を考える。
回転率を考える。
いつの間にか、
だったはずが、
に変わっていました。
もちろん、利益は必要です。
利益がなければ続けられません。
でも、私が苦しくなった理由は、お金そのものではありませんでした。
目的と手段が入れ替わってしまったことです。
その瞬間、私はまた考え始めました。
「なぜ私は、こんなに苦しいんだろう?」
問題ではなく、前提を疑う
普通なら、
「売上を増やすには?」
「利益率を上げるには?」
という答えを探すのかもしれません。
でも私は違いました。
「なぜ私は花を守るべきだと思ったんだろう?」
「私は何を大切だと思っているんだろう?」
「その価値観はどこから来たんだろう?」
そして最後には、
という問いまでたどり着きました。
花の問題を考えていたはずなのに、いつの間にか人間そのものを考えていたんです。
でも、その思考には大きな欠点がありました

世界がつながって見えれば見えるほど、動けなくなったんです。
イルカだけ守っても意味がない。
海だけでも意味がない。
環境全部がつながっている。
花も同じでした。
花だけではない。
生産者も。
流通も。
価値観も。
社会も。
全部つながっている。
そう考え始めると、一つの職業を選べなくなりました。
「花屋」
「海洋生物保護」
そんな具体的な仕事では、自分の問いを扱いきれない。
そんな感覚があったんです。
当時は、それを「夢を諦めた」と思っていました。
でも違いました。
そして今、ようやく分かった
最近になって、ようやく気づきました。
私は具体的な仕事を探していたんじゃない。
ずっと探していたのは、
だったんです。
でも実際に見ているのは、投稿ではありません。
プロフィールでもありません。
導線だけでもありません。
その人は、
そこを見ています。
私は集客だけを教えたいわけではありません。
その人自身が、自分の原点を思い出すきっかけを作りたい。
そう思っています。
私は現場で戦う人ではなくなった

昔は、自分がイルカを守る人になりたかった。
自分が花を届ける人になりたかった。
でも今は少し違います。
私は直接イルカを守ることはできません。
世界中に花を届けることもできません。
その先には、その人たちが届ける何百人、何千人という人がいます。
私は行動そのものではなく、行動を生み出す「認識」や「価値観」に関わる仕事へと、自然にたどり着いたのだと思います。
答えは、一つじゃなかった
昔の私は、正解があると思っていました。
「本当に守るべきもの」があって、それを見つければいいと思っていた。
でも今は違います。
利益も大切。
命も大切。
文化も大切。
美しさも大切。
だから私は最近、「答え」を探すことをやめました。
その代わり、
「その人は、どんな前提で世界を見ているのだろう。」
という問いを持つようになりました。
その前提が変われば、行動も変わります。
行動が変われば、人生も変わります。
あの日のイルカは、今につながっていた
今なら分かります。
高校生の頃に抱いた
「イルカを守りたい。」
という気持ちは、決して消えたわけではありませんでした。
ただ、その問いは成長するにつれて、
「世界はどうつながっているのか。」
「人は何を価値として生きているのか。」
「目的と手段は、いつ入れ替わるのか。」
という、もっと大きな問いへと姿を変えていっただけでした。
だから私は、イルカの夢を諦めたのではありません。
花屋を辞めたのでもありません。
私はずっと同じ問いを追い続けています。
その問いを探究し続けた結果、今の私は、人の「考え方」や「価値観」に働きかける仕事にたどり着きました。









