「全員に好かれたい」から抜け出せない時期があった
ショップ運営をしていた頃、私はとにかく「誰にでも喜んでもらいたい」と思っていました。
新規のお客様からDMが来ればすぐに返信し、常連さんからの要望もすべて受け入れる。
「断ることは悪いこと」だと思い込んでいたんです。
けれど、結果はどうだったかというと──
気づけば時間もエネルギーも奪われ、一番大切にしたかったお客様への対応が後回しになっていました。
そんなときにもう一度読み返したのが、リチャード・コッチの『80対20の法則』。
その中に書かれていた内容が、私の考えを大きく変えました。
「利益の80%は、上位20%の顧客から生まれている。」
顧客にも「80対20の法則」は働いている

どんなビジネスにも、実は“偏り”があります。
売上の80%は、たった20%の顧客から生まれている。
理想を言えば「全員を幸せにしたい」ですが、現実的には、自分の時間もエネルギーも有限です。
本当に喜んでくれる人・応援してくれる人に集中することが、結果としてブランドを長く愛されるものにしてくれます。
図で見る「顧客の80対20」
全顧客100%
├── 上位20%(売上・信頼の80%を生む) ← 集中する!
│ └── その中の20%(真のファン=ブランドの核) ← さらに大切に!
└── 残り80%(反応は薄い・離脱しやすい) ← 必要以上に追わない
“上位20%”の顧客に集中するという勇気
以前の私は、「どんなお客様にも誠実であれ」と自分に言い聞かせていました。
誰にでも丁寧でいようとすると、本当に大切にすべき人たちへのエネルギーまで分散してしまいます。
そこで私は、顧客対応を次のように分けるようにしました。
- リピートしてくれるお客様
- 世界観に共感して購入してくれる方
- 「届きました!」と嬉しそうに写真を送ってくれる方
──このように「関係が循環している人」だけに、しっかり時間を使う。
その代わり、「値引き」や「特別扱い」ばかり求めるお客様、「明らかに世界観が合わない方」には無理をしないようにしました。
すると不思議なことに、ストレスが減り、信頼関係の深い顧客が自然と増えていったんです。
注意すべきは「依存的な顧客」
ここで一つ、私が痛感したのは──
「どれだけ丁寧に対応しても、“依存的な顧客”には終わりがない」ということです。
依存的な顧客とは、たとえばこんなタイプ。
- こちらの都合に関係なく、すぐ返信を求める
- 「私のことを一番に考えてほしい」と期待する
- 感情的なDMや長文メッセージを頻繁に送ってくる
- 一度優しく対応すると、それを“当然”と感じるようになる
なぜなら、相手は「商品」よりも「あなた」に依存してしまうから。
そして、それはあなたの時間と心をじわじわと奪っていくのです。
「優しさ」と「迎合」は違う
私は花屋時代、どんなお客様にも誠実でありたいと心から思っていました。
でもあるとき、「誠実=全部に応えること」ではないと気づいたんです。
優しさは「相手を思って行動すること」。
迎合は「相手に嫌われないために行動すること」。
この違いに気づけたとき、ようやく“顧客に振り回されない軸”ができました。
80対20で考える「距離の取り方」
依存的な顧客に必要なのは、拒絶ではなく“距離感”です。
それはリチャード・コッチの法則にも通じていて、「20%の顧客に集中する」とは、残り80%と距離を取る勇気を持つことでもあるのです。
私が実際に意識していることは、次の3つです。
- 感情的なメッセージには即レスしない(少し時間を置く)
- 無理な要望には「その方法では当方の対応は難しいです」と柔らかく断る
- 「相手のペース」ではなく「自分のルール」で対応する
そうすることで、不思議と相手も落ち着き、“本当に信頼できる関係”だけが残っていきます。
「20の中の20」──ブランドを支える“真のファン層”

リチャード・コッチは著書の中で、「80対20の法則は繰り返し適用できる」と述べています。
顧客管理も同じ。
あなたの世界観を理解し、心から応援してくれる“真のファン層”こそ、ブランドの核です。
- あなたの商品を何度も購入してくれる
- 自分のSNSで自然に紹介してくれる
- メッセージに感謝や愛がこもっている
MIHOそんな人たちが、ブランドのエネルギーを支えています。
そして、この4%ほどの顧客が、あなたの世界観を外へ広げてくれるのです。
顧客管理にも「やらないこと」を決める
顧客対応で最も大切なのは、やらないことを決める勇気。
それは冷たいことではなく、「循環を守る」ための行動です。
| やらないこと | 理由 |
|---|---|
| 値引き依頼にすべて対応する | 一時的な売上よりもブランド価値を優先する |
| 無反応なフォロワーに毎回メッセージを送る | 時間を“共感してくれる人”に使う |
| クレームを一人で抱える | 感情の消耗を防ぐ・外部サポートへ委任する |
| すべての問い合わせに即レス | “余白”がないと、良い対応ができなくなる |
まとめ:「顧客を選ぶ」ことは、わがままではなく“調和”
顧客を選ぶというのは、「嫌いな人を切り捨てる」ことではありません。
たった数人の信頼できるお客様を大切にすること。
その人たちが喜ぶ姿を思いながら働くこと。
それが最終的に、ブランドにも人生にも“循環と調和”をもたらすのです。
▽今回紹介したリチャード・コッチの『人生を変える80対20の法則』はこちら
私が“やらない勇気”の大切さに気づくきっかけとなった1冊です。
働き方や顧客との関係を見直したい方におすすめ。
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